安い宿を求めて。東横INNからサウナ、そして「じゃらん」へ。35

家に帰らない生活をするにあたり、宿泊費というものは非常にネックな問題です。逆にいうと、ここを節約できれば金銭的な余裕が生まれると思い、従来の宿泊方法を改革することにしました。

まだ国内旅行をあまりしたことがない頃、大阪で寝床を探し、辿り着いたのが東横INNだった。普通の学生は漫画喫茶にすべきであり、ホテルというものは富裕層が利用するものだと思っていたが、大阪の一等地でも一泊6,000円前後と意外とリーズナブルなもの。会員カードを作ると安くなるというので受付にて手続きすることに。やる気のなさそうなお姉さんが懐からわけのわからない物体を出し、いきなり僕の真正面に差し出し、気づけばシャッターを切られていた。そこそこカメラに詳しい僕でも、このときカメラをカメラと認識できないほどに見たこともない物体だった。心を奪われた。そのときの僕の困惑した表情は、今でも会員カードに記録されている。

無料で食べられる朝食バイキングは食事の本質である栄養摂取のみを目的としたようなもの。飲み物は、水とお茶、牛乳、コーヒー、それにオレンジジュース。このときのオレンジジュースは決して特別な味ではなかったのであろうがほんの贅沢をした気分にさせてくれる、至極の一杯。この味を求め、それからしばらく、東横INNを好んで利用するようになる。各地で泊まるうちに気づいたことがある。どこの部屋もレイアウトが完全に同じなのである。異なるのは料金と窓からの景色くらいか。無駄がなくシンプルを極めたデザイン、病的なまでのシステマチックさが、神経質で潔癖気味の僕には性に合った。ポイントを貯めて無料で泊まったりして、もはや第二の家であった。なお、東横INNと並ぶビジネスホテルであるアパホテルスーパーホテルは、比較がてら利用してみたが料金が若干高く気に入ることはなかった。

しかしもっと料金を抑える方法を見つけた。サウナである。サウナ施設にはカプセルが併設されていたり、リラクゼーションスペースがあったりで朝まで居られるものがある。べつに一泊ごときに個室に泊まりたいという欲はないのでこれはサウナにも入れるしビジネスホテルより安いしで都合が良かった。これにより、ここ一年間で東横INNに宿泊したのは片手で数えられるほどになり、全国のサウナを66回訪れることになった。どのサウナにも個性がある。ととのって気づく新たな境地がある。サウナと出逢わなかった人生はどこか寂しいものだと思う。しかし、まだ高い。。もっと料金を抑えたかった。

そこで最近見つけたのが「じゃらん」である。元は旅行専用雑誌だが今はオンラインで様々なホテルと提携し、サイト内で提携ホテルの比較から予約までできてしまうというもの。泊まりたい地域を選択して「安い順」にしてもっとも安いところに宿泊する。これがマイルール。事前の予約などしなくても「今夜泊まれる宿」を検索することができる。まだ10回ほどしか利用してないが、だいたい2,000円前後で一泊することができている。この方法の面白いところは、今まで存在すら知らなかったような宿と出逢えるところにある。ちょっと調べてあまり行きたくないところでも、行ってみたら意外と良かったりする。おおよそ個人経営のドミトリーホテルが多いが、その地域の個性を感じられるものであり新たな世界が垣間見ることができる。食べログと同じように、いいものを食べたいのではなく自力では出逢えないものを紹介してくれる。そして、なによりも安い。

それぞれに利点がある。今はじゃらんにハマっている。だけど、それに満足することなくこれからもいろんな方法を試して知見を広げていきたい。