かつて喫煙車というものがあった、24

2019年12月1日をもって、東海道新幹線から700系の列車が運行を終了した。N700系に完全に切り替わることとなった。

700系とN700系の違いは、鉄オタが口を開けば沢山あるのだろうが、個人的に大きいと思うのは喫煙席の有無だ。若い人には多く知られていないかもしれないが、N700系にある喫煙ルームではなく、その全席まるまる喫煙可能という車両があった。椅子に座り流れゆく車窓を眺めながらの一服は妙な背徳感もあり極上であった。

 

1987年の国鉄が民営化される前まで、通勤形車両以外では列車内での喫煙が可能だった。しかしJRになってからは世間の風潮とともに徐々に禁煙化されていった。映画館や飛行機、タクシー、街中でも禁煙化は進み、今や都市部では喫煙所を探すのに一苦労といった状況。私の母校も在学時はほぼすべてのベンチに灰皿が設置されていた(それもそれで異常であった)が、卒業してからたった2年弱で校舎内での喫煙スペースは3箇所だけになった。喫煙者の肩身はどんどん狭くなっていく。

個人的にはJRは最後まで喫煙者に優しくあってほしいと思っていた。赤字続きの国鉄が民営化するにあたり残った37兆円の負債は、その一部はそのために創設された”たばこ特別税”からまかなわれている。それなのに都市部のホームは当たり前のように喫煙スペースが撤廃され、喫煙車も運行終了。喫煙者が借金を負担しているというのに、仇で返されているような気持ちになる。まあ、この時代でもなお新幹線乗り場やN700系に喫煙スペースがあることだけでも、マシなのかもしれないが。

 

東海道新幹線区間で喫煙席があるのは残すは寝台特急サンライズ瀬戸・出雲のみ。いつ撤廃されるのかはわからない。。

 

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